―2016年度にトラベルイヤホンを『中西シート』に導入していただきました。まずはそのきっかけについて教えていただけますでしょうか。
『中西シート』は中西哲生さんご本人の発案で2007年に設置しました。
チケット代も中西さん個人が負担し、毎試合10~15人程度をご招待するこの企画にトラベルイヤホンを導入したのも、実は中西さんの発案によるものだったんです。トラベルイヤホン導入後、500名を越えるお客様にご参加いただきました。
2007年から川崎フロンターレのクラブ特命大使としてファン拡大に努めてきましたが、初心者の方にもっとサッカーの楽しさを知ってもらうにはどうすればいいかと思案していた頃、トラベルイヤホンの存在を知りました。最初は他のクラブの観戦イベントで使わせていただいたのですが、これが予想以上に好評で、私自身も“トラベルイヤホンがあればサッカー観戦が倍楽しくなる”と感じることができました。ぜひ『中西シート』でもと思い、フロンターレに提案させていただいたのです。
**『中西シート×トラベルイヤホン』観戦レポート**
『中西シート』はメインスタンド(メインSS指定席)またはパーティーシートに設置。到着すると一人一台、トラベルイヤホンの受信機が配布されます。
イヤホンから解説が聞こえてくることで案内人の口元に注目しなくて済むため、案内人と同じ目線を向けながら案内を受けることができます。
キックオフの5分ほど前から中西氏による生解説が始まります。この日の試合は川崎フロンターレvs.湘南ベルマーレ。生解説では川崎の鬼木監督がかつて、湘南の曺(チョウ)監督の教え子だったエピソードが明かされ、参加者は徐々に試合に引き込まれていきました。
後進の育成を優先し、テレビなどの90分間の解説は敢えて引き受けていないという中西氏の生解説では、目の前でプレイしている選手の得意技や経歴、性格まで、日頃からフロンターレの選手と親交のある中西氏だからこそ話せるエピソードが盛り沢山。前半終了直前には“等々力競技場のトイレが混雑しにくい秘密”にまつわるトリビアも披露されました。
試合終了後には中西氏とピッチ上で記念撮影。参加者は「オフサイドの意味が初めて分かったのも中西さんのおかげ。初心者にも分かりやすい生解説で試合に入り込みやすかった」「スタジアム観戦は2回目。前回は解説もなくゴールが決まったときに喜ぶくらいしかできなかったけど、今回はいま目の前でボールを持っている選手の“人となり”までリアルタイムに伺えて何倍も楽しかった。またスタジアムに来たいです」と大満足の様子でした。
**観戦レポート終了。以下、インタビューに戻る**
―トラベルイヤホンを用いた生解説の魅力はどこにあると感じていらっしゃいますか?
「美術館でも絵のタッチや時代的な背景、作家の人生など作品にまつわる“ストーリー”を知るとより楽しめますよね。サッカーも同じで、いま目の前で起きたワンプレイに対する選手の意図、監督や選手のパーソナリティー、対戦チームとの因縁といったストーリーを知ることで見えてくる景色が全く変わってきます。その点が生解説の一番の魅力で、ビギナーの方ほど実感してもらえるところだと思いますね」。
―トラベルイヤホンの使用感についてはいかがですか?
「小型で軽量だから、前後半合わせて90分間使用してもストレスは感じません。それと試合中は私自身が自分の声を聴きながら解説させてもらっているのですが、ノイズがほとんどなく、音声がクリアに届く点には満足しています」
―トラベルイヤホンを活用し、今後はどのような展開を考えてらっしゃいますか?
「昨年(2017年)に開催したホームゲームで一度、フロンターレと対戦チームの女性サポーター30人ずつを集めて観戦イベントを開催しました。計60名の方にトラベルイヤホンを装着してもらい、相手チーム出身の解説者と中西さんで生解説をやってもらったんです。二人同時だと披露するエピソードも豊富になり、ときに漫才のような掛け合いも生まれて生観戦がより楽しくなる。今後も他のクラブを巻き込んだ観戦イベントを展開していきたいですね」
「トラベルイヤホンはサッカーをより深く知り、より楽しんでもらうためのツールです。これがもっと普及すれば、サッカーを見る側の“リテラシー”も上がるでしょう。少し大げさかもしれませんが、Jリーグ全54クラブの試合観戦に活用できる環境が整えば、日本のサッカー界にとってもプラスになると思います。サッカーだけでなく、野球やラグビー、バスケットボールなど他のスポーツ観戦にも普及していくといいですね」
―本日はありがとうございました。
何かご要望等あればお気軽にお知らせください。